わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』②~検事にいわれてつらかったこと~
前回のブログでは,身体拘束されている勾留中の取り調べは長くつらいもの,と書きました。
しかし,自分の身が自由にならないから,という理由だけで,取り調べがつらいのではありません。これにくわえて,取り調べには,
あなたの言い分を、取調官に分かってもらえる、という期待をもってはいけません。
取調官は、あなたがほんとうのことを言っても、とにかく疑ってかかるようにと教育を受けてきたからです。「ほんとうのことを言えば、分かってもらえる」と思っていた無実の人が、どんなに言っても、信じてもらえなかったことに絶望し、ウソの自白に至ってしまうことは非常に多いのです。(『取調べを受ける心がまえ』*1)
という状況があります。
続きを読む弁護士の法廷技術は大切
本日の私のFacebookでも紹介したのですが,
このような,弁護士の「法廷技術」,とりわけ「プレゼンテーション技術」に対する需要の高まりは,裁判員制度の導入に始まるものです。
弁護人の冒頭陳述は,全体としてみれば,それなりに質の高いものであった。(中略)一方で,率直に言って,検察官の組織だったプレゼンテーション技術に比して,物足りない印象を受けたのも事実であった。(同上論文,p.379より引用)
もちろん,検察側,弁護側のプレゼンテーションの技量の優劣によって被告人の量刑が変わるようなことはあってはならないのがタテマエでしょうが,裁判官(裁判員)も人間ですから,判断の根拠となる情報がどのように彼らの頭に入り整理されるかによって,最終的な判断に影響がないとは言い切れないでしょう。
しかも,検察は「組織だって」プレゼン技術を磨いてくるのです。(恐っ)
そもそも,検察は圧倒的な組織力によって捜査を進め,被疑者を有罪とする証拠を集めて起訴に至るわけです。それに対して,弁護側は1人か,せいぜい数人の弁護団です。もとから,投入できる人的資源が違いすぎます。それに加えて,プレゼンでも差をつけられたら。法廷で弁護側がいかに不利な立場にあるか,おわかりいただけると思います。
しかし,弁護士の皆さん,あきらめないでください。上記のアカデミーのように学ぶ場はありますし,経験が技量を上達させます。私自身も,大学での職場経験を経て,一応人並みにプレゼンができるようになりましたし,私の教え子も,まったくの素人から,国際学会で,英語を使って,片手をポケットに突っ込み(笑),演台を離れて演説をするまでになりました。
では,どうするか。
簡単です。
- プレゼンがうまい人の真似をしましょう(誤解を恐れずにいえば,盗みましょう)
- できるだけ多くの人にプレゼンを見てもらって,コメントをもらいましょう。
検察の「組織だって」というのは,要は,いろいろな人(おそらく偉い人たち)が事前にプレゼンをみて改善を重ねているということにすぎません。大したことないです。量をこなして,がんばりましょう。チャレンジしましょう。やればできるようになります。
国循官製談合事件,いわゆる国循サザン事件について知りたい方は,こちらのサイトをごらんください。↓