誰か知る松柏後凋の心

たれかしる しょうはくこうちょうのこころ

国循サザン事件

やっていない罪を認めるわけがない、と思いますか。

神戸新聞、2017/12/03の記事より。 これが「社会正義」なのか 論説委員室 森玉康宏 「やっていない罪を認めるわけがない、と思いますか。勾留されて取り調べを受けてごらんなさい。あなたもいちころですよ」 ある冤罪(えんざい)事件をめぐる集会で、虚偽自…

初めての被告人質問を終えて

本日、初めての被告人質問が終わりました。 よく「証言台に立つ」と表現される場面ではありますが、実際には座っておりまして・・・。座り心地も悪い。まあそれはさておき、証言台のところに座ってみると裁判官の顔がよく見えるんです。 八田さんの「被告人…

被告人はどこに座るか

半年ぶりにブログを更新します。 私は公判では弁護人席に座っています。傍聴席からみて右側です。しかし、一般的に、被告人は裁判官と向き合って座ることが多いようです。 この写真は、 大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所のWebサイトの「法廷の内部」*1に掲載…

”被告人による証人尋問”を体験して

第7回公判では,被告人である私自身が証人(検察側証人)の反対尋問を行う場面がありました。 ほとんどの公判において,尋問は,検察官と弁護人によって行われるものです。被告人が尋問を行うことは,制度上許されることであっても,実際にはなかなかあるこ…

邂逅

法廷の休憩時間に,私が廊下を歩いていると,突然,私の後ろから,私の昔のあだ名で呼ぶ声があり,私は驚いて振り向きました。 そこには,すらりとした長身の,私と同年代ぐらいの男性が立っていたのです。 もう一度,彼は「久しぶり」と私に声をかけました…

被告人は弁護団の一プレーヤー

刑事事件の弁護人の『選び方』について,私が尊敬してやまない八田隆氏のブログ *1にこのような記載があります。 「高名な弁護士先生に全てをお任せしたい」という人もいれば、私のように「インフォームド・コンセントが重要。自分も弁護団の一員として機能…

第3回『国循サザン事件』公判を終えて(本人感想)

昨日の公判は無事終わりました。わざわざ傍聴に来て下さった皆様,Facebookで応援してくださった皆様,ありがとうございました! 今回の証人である調達責任者の西田氏の証言は,私が想定していたものよりもかなり「トーンダウン」していました。 ブログを途…

勾留生活~開かない窓,閉まらない窓~

『国循サザン事件』での勾留中の話をつづけます。 ブログを途中から読み始めた方のために:この事件は,私が官製談合防止法違反という無実の罪のかどで起訴され被告人となり,現在,大阪地裁で裁判が行われている事件のことです。詳しいいきさつは, 国循サ…

勾留生活~時計のない拘置所で時刻を教えてくれるものとは?~

前回のブログでは,勾留生活で一番辛かったこととして,拘置所では時計がなく,時刻を知る手段がないことを挙げました。 勾留生活でいちばんつらかったこと - 誰か知る松柏後凋の心 ブログを途中から読み始めた方のために:この事件は,私が官製談合防止法違…

勾留生活でいちばんつらかったこと

今回は,いったん『国循着任直後に直面した課題シリーズ』を離れて,別の話題で記事を書きます。 ブログを途中から読み始めた方のために:この事件は,私が官製談合防止法違反という無実の罪のかどで起訴され被告人となり,現在,大阪地裁で裁判が行われてい…

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』⑥(最終回)~取り調べ可視化と司法取引~

今回が,私の心のバイブル『取調べを受ける心がまえ』*1シリーズの最終回になります。 なお,この『バイブル』の原典は,岐阜弁護士会美和勇夫弁護士の著された『美和ノート』*2です。 さて,最終回は,取り調べ可視化と司法取引について書いてみたいと思い…

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』⑤~供述調書に納得すれば署名していい?~

今回は,私の心のバイブル*1の神髄部分,『供述調書』について書きます。 この『バイブル』で,著者ら(岐阜弁護士会美和勇夫弁護士と大阪弁護士会秋田真志弁護士)が最も言いたいことは,間違いなく 納得できない供述調書に署名をする必要はない ということ…

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』④~作り出される矛盾に苦しむ被告人~

前回のブログの最後に, 被疑者が真実を話すのであれば,その話と矛盾する証拠など出てくるわけがない と考えることは間違いだと書きました。 証拠には,物証と人証があります。ここでは大まかに,前者が文書,後者が証言と考えます。

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』③~なぜ検察は知りたがるのか~

前回のブログでは,取り調べがいかにつらいものか,ということを私の体験を交えて書きました。 では,どうやって取り調べに向き合えばよいのでしょうか。 そこで,バイブル*1の登場です*2。バイブルでは,被疑者の心がまえとして,つぎのようにアドバイスし…

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』②~検事にいわれてつらかったこと~

前回のブログでは,身体拘束されている勾留中の取り調べは長くつらいもの,と書きました。 しかし,自分の身が自由にならないから,という理由だけで,取り調べがつらいのではありません。これにくわえて,取り調べには, あなたの言い分を、取調官に分かっ…

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』①~調べは山登りやマラソンのように長くつらいもの~

2014年2月に国循に強制捜査が入ってから,同年11月に逮捕されるまでの間,私(桑田)が心のバイブルとしていた冊子があります。 大阪弁護士会の秋田真志弁護士が,ご自身の事務所のホームページで公開しておられる『取調べを受ける心がまえ』*1です。 *1:htt…

弁護士の法廷技術は大切

本日の私のFacebookでも紹介したのですが, このような,弁護士の「法廷技術」,とりわけ「プレゼンテーション技術」に対する需要の高まりは,裁判員制度の導入に始まるものです。 『裁判員裁判第1号事件傍聴記』*1 弁護人の冒頭陳述は,全体としてみれば,…

『サザン』のわけ

私(桑田)が2014年11月に逮捕,同年12月起訴された事件は,「国循不正入札事件」「国循入札情報漏洩事件」などと呼ばれることもあるようですが,私は,これを『国循サザン事件』と呼んでいます。

このブログについて

このブログのタイトル 誰か知る松柏後凋の心(たれかしる しょうはくこうちょうのこころ) は,二十六歳で安政の大獄にて命を落とした幕末の武士,橋本景岳(橋本左内)の獄中詩(七言絶句)の一節から取ったものです。