誰か知る松柏後凋の心

たれかしる しょうはくこうちょうのこころ

わが心のバイブル―『取調べを受ける心がまえ』①~調べは山登りやマラソンのように長くつらいもの~

2014年2月に国循に強制捜査が入ってから,同年11月に逮捕されるまでの間,私(桑田)が心のバイブルとしていた冊子があります。

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大阪弁護士会の秋田真志弁護士が,ご自身の事務所のホームページで公開しておられる『取調べを受ける心がまえ』*1です。

これは,もちろん,私が逮捕された場合を想定して,どのような態度で取り調べに臨むべきかを知っておこうと思い,読んでいたのでした。

冒頭にこうあります。

逮捕、勾留手続(身体拘束)は1回につき、少なくとも原則23日間ぐらいは続くと思って覚悟して下さい(刑事訴訟法では、逮捕後勾留請求まで最大 3 日間、勾留は原則として 10 日と決められていますが、さらに 10 日間勾留が延長されることが多いのです)。
調べは山登りやマラソンのように長くつらいものです。

これは警察に逮捕された場合のことを言っています。私の場合,捜査が大阪地検特捜部(検察庁の独自捜査)によって行われ,彼らに直接逮捕されましたので,最初の3日間(逮捕後勾留請求)はありません。逮捕された日が0日目。翌日,裁判所に連れて行かれ,裁判官にあっさりと「勾留決定します」とお約束のように言われ,そこから10日間。10日目に検察から「捜査が尽くされていない」と勾留延長請求がなされ,裁判所はまたもやあっさりと「延長を認めます」でさらに10日間,の合計21日間の勾留でした。(その後保釈請求が認められるまで勾留は続きましたが,この件はまた別の記事で。)

この21日間,原則として,土日祝日関係なく毎日取り調べがあります。

たかが20日ぐらい,たいしたことないやん

と,まさか私に面と向かって言う人はいないと思いますが,内心そう思っている人がいることはよくわかります。

しかし,勾留されている被疑者には取調受忍義務(とりしらべじゅにんぎむ)*2があります。つまり,検察が取り調べたいと言えば,それを拒否することは難しいのです。

もちろん,私の弁護人である高見弁護士いわく,

部屋の中でなにかにしがみついて,絶対に部屋から出ないと言えば,それを無理に連れ出すことは,向こうにはできない

ということなのですが,そんな勇気があるはずもなく。そもそも部屋にある,しがみつけるモノといったら便器ぐらいで,しがみつきたくもない。

つまり,検察は,取り調べたいときに拘置所に来て,いつでも自由に取り調べができる。こちらからすれば,いつ検察が来るか分からない。取り調べが始まれば,いつ終わるか分からない。それこそ何時間も十何時間も取り調べが続くかもしれない。

自分の自由になることがほとんどない空間ですごす20日間はとても長いものです。

私の場合,拘置所での取り調べはすべて録画録音されていたので,さすがに調べの最中に怒鳴られたり,暴力を振るわれたり,ということはありませんでしたが,昔はそのようなことがあったと聞きます。しかし,そこまでひどくないにしても,もし録画録音がなければ,もっと荒っぽい,長時間にわたる取り調べがあったであろうことは想像に難くありません。(次回につづく)

国循官製談合事件,いわゆる国循サザン事件について知りたい方は,こちらのサイトをごらんください。↓

southerncase.shig.org