被告人は弁護団の一プレーヤー
刑事事件の弁護人の『選び方』について,私が尊敬してやまない八田隆氏のブログ *1にこのような記載があります。
「高名な弁護士先生に全てをお任せしたい」という人もいれば、私のように「インフォームド・コンセントが重要。自分も弁護団の一員として機能したい」という人もいると思います。
無罪を勝ち得るために~冤罪と戦う方法 その6 「被告人ができること 各論(2) 優秀な弁護人を選ぶこと」 7/24/2014
私は,自分が事件に巻き込まれたとわかったとき*2,正直言って,これほど冷静に「弁護士をどうやって選ぶか」について考える余裕はありませんでした。知り合いに弁護士はいないし,そもそも逮捕されてもいないのに弁護士が必要なのか? すらよくわかっていない状況でした*3。
そのとき,ある方から「とても良い先生だから」と高見秀一弁護士をご紹介いただきました。私は右も左もわからず,ただただ藁にもすがる思いで高見先生に弁護をお願いしました。あとで分かったのですが,高見先生は大阪弁護士会では知らぬ人はいないぐらい名の通った方だったのです。その後,私が逮捕されたとき,高見先生のご紹介で,我妻路人弁護士にも弁護団に加わっていただきました。我妻先生はまだ30代前半と年齢もお若く,ご高名というわけではなかろうと思うのですが,私は,これまでの彼の弁護活動を拝見したうえで,彼がきわめて優秀な弁護士であると認識しています。
つまり,私は期せずして優秀な弁護人を選んだことになります。
では,『国循サザン事件』における桑田弁護団は,高見先生,我妻先生のお二人だけでしょうか?――いえ,違います。私,桑田がおります。上の八田氏の言葉にあるように,今,私は,
自分も弁護団の一員として機能したい
と強く思っています。正確には,お二人の弁護人のパフォーマンスを最大限に引き出すための努力をしたいのです。
私の事件は,国循という組織内部で起きた事件であり,『入札』という一般にはなじみのない制度に関する事件でもあります。国循関係者でもなく,入札の専門家でもない弁護士にとって,その内容を理解することはとても難しいものがあります。
さらに,この事件は捜査が長期化した影響もあって,証拠書類の量が半端なく多いのです。おそらく,すべての証拠書類を印刷すれば,厚み10cmのドッヂファイル百数十冊のオーダになると思います。これに加えて,電子データは4TB(1TB=1024GB)のHDD2つ分のボリュームです。
他方,私は,国循の職員であり,その内部事情をよく知っています。入札については専門家ではありませんが,国循の調達担当者がどのような仕事をしていたのかはおおよそ想像できます。つまり,私は,弁護人の先生方の理解を助けるための助言をすることができます。
さらに,最も重要なことは,私は仕事柄,コンピュータのデータ分析が得意,ということです。4TB×2の膨大な電子データの中から事件に関係ある資料を見極める,という作業は私にしかできないことです。
『国循サザン事件』では,
弁護人の先生方が事件の本質を見極め,検察が見逃した*4真実を炙り出す。
こういったところに,私の力は役立っていると感じます。
これからも,私は弁護団のプレーヤーとして,自らの無罪立証のために貢献したいと考えています。