被告人はどこに座るか
半年ぶりにブログを更新します。
私は公判では弁護人席に座っています。傍聴席からみて右側です。しかし、一般的に、被告人は裁判官と向き合って座ることが多いようです。
この写真は、 大阪地方裁判所・大阪家庭裁判所のWebサイトの「法廷の内部」*1に掲載されているものです。こちらに背を向けているのが被告人です。
私の公判の法廷(大阪地裁603号法廷)は裁判員裁判用の法廷のようです。裁判官用の3席に加えて、裁判員用の席は裁判官の周りに配置されています(裁判員はいません)。ですので法廷の大きさはこの写真よりかなり大きくなっています。机上には提示された資料をみるためのモニタが各席分置かれています。資料は書画台を使ってカメラで撮影され、各モニタに配信されます。書画台はワゴンに載せられており、1台しかありません。よって、検察が使うとき、弁護側が使うとき、それぞれの場面の切り替え時にはゴロゴロとワゴンを押して移動させる必要があり、「あ、すみません、私が動かします」などと検察官と弁護士が協力しながら作業しているのを見ると、すこしおかしな感じがします。
裁判官・裁判員側の机上に置かれているモニタは、検察側、弁護側の机上にも置かれています。机の大きさは3人が座れるぐらいの大きさですが、そこに置かれているモニタは一台だけです。
私の公判では、もう一人の被告人と弁論併合されていますので、弁護人席には、被告人2名と弁護人5名の都合7名が座らなくてはなりません。そこで、もともと設置されている机の横に一人用の簡易机を置いて4名座り、その後ろに同じく簡易机を置いて3名座ります。つまり、前列4名、後列3名のフォーメーション(笑)になります。しかしモニタは1台だけですので、ほとんどの人はモニタを見ることができません。とくに、弁護側が尋問する際には、尋問者がモニタをみながら資料が正しくモニタに提示されているかを確認するために、モニタを尋問者に向けておく必要があり、その望ましくない傾向はさらに顕著になります(下図)。
実は、大阪地裁603号法廷には、検察官席、弁護人席それぞれの後ろの壁の情報に大型モニタが設置されています。そこには各席のモニタと同じものが表示されるしくみですが、私の公判では「プライバシー保護」を理由としてモニタの電源が切られている状態です。公開法廷でさまざまな発言や証言がなされているなか、プライバシーもなにもあったものではないと思うのですが、資料に書かれていることだけプライバシーを守るという、そのバランスの悪さ、そしてそれに気づきもしない当事者たち、というのがとても滑稽に思えます。
ところで、被告人が弁護人席に座るというのは、裁判員裁判ではよくあることのようです。
私の裁判は「非裁判員裁判」なので、やはり私が弁護人席に座るということは一般的なことではないようです。
被告人を弁護人に座らせたい理由は2点。①裁判員から見て「お白州式」だと犯罪者扱いに感じるおそれ、②開廷中の弁護人との打ち合わせの必要。
①は私には無関係ですが、②は非常にその必要性がよく分かります。私の場合、公判の最中に弁護人に耳打ちして、事件のポイントを解説することがよくあります。弁護人から確認を求められることもよくあります。
弁護人は私の事件だけを担当している訳ではありません。私の事件はone of manyです。打ち合わせの機会もそれほど頻繁にある訳ではありませんから、ことあるごとになんども繰り返して事件の内容と私の主張を伝えておく必要があります。公判の場所はまさに絶好の機会です。公判中の弁護人との「ささやき」は非常によく記憶に留められていると感じます。
このブログ主は弁護士で担当している裁判で、裁判官に被告人を弁護士席に座らせたいと願い出たが、叶わなかったようです。
敵性証人の反対尋問も打ち合わせてある。それでも、検察官の要旨の告知はいっしょに確認したいし、敵性証人の主尋問をいっしょに聞きたいことがある。裁判長は、このあたりの事情を無視している(後略)。
まさに、こういう勘所の斟酌ができない裁判官がいるということです。決して少数例ではないでしょう。
*1:http://www.courts.go.jp/osaka/kengaku/virtual_tour/04th/index.html
*2:このブログの日付は2014年9月17日。